
iPad Air 5が突然起動しなくなり、パソコンにつないで復元やアップデートをすると「エラー4013」で止まる。この症状で、電源ボタン付近の腐食によって配線が切れていた端末を、腐食を取り除いてエナメル線でつなぐジャンパ修理で直しました。データもそのまま残っています。当店(埼玉県熊谷市のStock Repair)が2026年3月に同業の修理店様から預かった事例をもとに、切り分けの順番、腐食と断線の場所、ジャンパ修理の手順を修理店の方に向けてまとめました。
全国から郵送で受付中:iPadの電源が入らない・起動しない・データを取り出したい、といった基板修理を承っています。 相談・お申し込みの方法を見る ↓
この記事のまとめ
- 症状:突然起動しなくなり、パソコンにつなぐよう促す画面(リカバリーモード)になる。復元・アップデートはエラー4013で止まる
- 原因:電源ボタン(Touch ID)のフレキがつながるコネクタ周辺の腐食で、配線が切れていた
- 修理:腐食を取り除き、切れた配線をエナメル線でつなぐジャンパ修理
- 結果:アップデートが最後まで通り、データそのままで起動。Touch IDも動作
- 対象:修理店・修理技術者の方。一般のお客様は記事の後半をご覧ください

症状:突然起動しなくなり、復元・アップデートがエラー4013で止まる

普通に使っていたiPad Air 5が突然起動しなくなり、画面にはパソコンとケーブルの絵(リカバリーモード)が出ていました。ご依頼元の修理店様がiTunesで復元を試みたところ、エラー4013で完了できませんでした。お預かり後に当店でもアップデートを試しましたが、同じようにエラー4013がくり返し出ました。
エラー4013は、パソコンと端末のやり取りが途中で切れたときに出るエラーです。ケーブルやパソコンを替えても同じところで止まるなら、端末側のハードウェアに原因があります。
切り分け:軽いものから順に確かめる
エラー4013の原因は端末ごとに違うので、分解の前後で次の順に切り分けます。
- ケーブル・パソコン側。別のケーブル、別のUSBの差し込み口、別のパソコンで試します。これで通れば端末の故障ではありません
- 本体につながっている部品。分解して、フレキでつながる部品を一つずつ外して起動を確かめます。水に濡れた後や落とした後の端末は、部品側の故障が多くあります
- 基板の腐食・配線の断線。基板とコネクタ周辺を顕微鏡で見て、腐食や水濡れの跡を探します。今回のiPad Air 5はここでした
- CPUまわりのはんだ。腐食も部品の故障もないのに同じところで止まるなら、CPUのはんだの接触不良を疑います。当店のiPad 第5世代・第7世代の事例はこれでした
原因:電源ボタン(Touch ID)のコネクタ周辺の腐食による断線


内部の部品を一つずつ確認したところ、電源ボタン付近に腐食と水濡れの跡が見つかりました。iPad Air 5は電源ボタンに指紋認証(Touch ID)があり、そのフレキがつながるコネクタの周辺です。腐食が見つかったのはこの周辺だけで、ほかの箇所に水濡れの影響はありませんでした。水没させた覚えがなくても、手汗や結露、雨粒のようなわずかな水分で腐食が進むことがあります。
腐食によって、コネクタから基板へ向かう配線(パターン)が切れていました。この断線が、エラー4013の原因でした。
ジャンパ修理の手順(当店のやり方)
- 分解して基板を取り出す。バッテリーを外してから、電源ボタンのフレキとコネクタ周辺を顕微鏡で確認します
- 腐食を取り除く。腐食で傷んだランド(部品を付ける土台)や配線を、きれいに処理します。腐食を残すと、つないだあとに同じ場所で再発します
- 切れている配線を特定する。コネクタのピンと、その先のパッドのあいだでテスターの導通を測り、切れている本数を確かめます。今回は3本でした
- エナメル線をはんだ付けする。極細のエナメル線を、コネクタのピンと配線の先のパッドにそれぞれはんだ付けして、電気の通り道をつなぎ直します。コネクタの樹脂は熱に弱いので、こて先を当てる時間は短くします
- 線を固定する。線が動いて外れたり隣のピンに触れたりしないように固定します
- 組み立てて、パソコンでアップデートする。もう一度パソコンとiTunesにつないでアップデートを行い、エラーが出ずに完了することを確かめます
- Touch IDを確かめる。電源ボタンの指紋認証が動くことを確かめてお返しします

失敗しやすいところ
腐食を取り切らないまま線をつなぐと、しばらくして同じ場所で切れます。腐食した部分は削って金属を出し、フラックスで濡れをよくしてからはんだ付けします。コネクタのピンへのはんだ付けは、熱でコネクタの樹脂が変形しやすいので、こて先の温度と時間に気をつけます。
切り分けの段階で「復元」を押さないことも大切です。基板が原因の場合は復元しても直らず、データだけを失います。
修理結果


修理のあと、もう一度パソコンとiTunesにつないでアップデートを行うと、今度はエラーが出ずに完了し、データそのままの状態で起動しました。電源ボタンのTouch IDも正常に動作することを確かめてお返ししました。
エラー4013は機種で原因が違う
当店でエラー4013を直した事例では、原因が機種ごとに違っていました。iPad 第5世代と第7世代はCPUのはんだのひびや接触不良で、CPUを外してはんだを作り直して付け直しています。今回のiPad Air 5は腐食による断線で、CPUには触れていません。iPhone 12では水没で腐食したイヤースピーカー部品が原因でした。同じエラー番号でも、まず部品と腐食を疑い、CPUの再実装は最後にするのが当店の順番です。切り分けの考え方は エラー4013で復元・アップデートできないiPhone・iPad にまとめています。
修理店の方へ:自社で直すか、外注するか
腐食の処理と断線のジャンパは、当店の基板修理研修の「断線・パターン修復」と「故障診断」で実機を使って練習します。研修は現役の技術者によるマンツーマン中心で、受講料は55万円(税込)、期間は1週間〜10日の集中コースです。全国から受講できます。
自社で対応が難しい端末は、今回のように当店が修理店・法人様からの外注として承ります。詳しくは修理店・法人の方へをご覧ください。基板修理に使う道具は基板修理を始めるのに必要な道具にまとめています。
一般のお客様へ
iPad Air 5が突然起動しなくなり、復元してもエラー4013が出る場合は、ケーブルやパソコンではなく本体側に原因があることがあります。データを残したい方は、「復元」を押す前にご相談ください。iPad Air 5の基板修理・データ復旧は39,380円(税込)で、全国から郵送で受け付けています。料金とほかの事例は iPad基板修理・データ復旧 をご覧ください。
よくある質問
Q. 「復元」を押しても大丈夫ですか?
A. 復元は端末の中身をすべて消す操作です。基板が原因の場合は復元しても直らず、データだけを失います。データを残したい方は、アップデートまでにとどめてご相談ください。
Q. 修理するとデータは消えますか?
A. 今回のように断線をつなぎ直してアップデートが通れば、データはそのまま残ります。初期化はしません。
Q. 修理店からの依頼もできますか?
A. はい。今回も同業の修理店様からのご依頼でした。修理店・法人の方へをご覧ください。
関連記事
- iPad Air 5 突然起動しない・エラー4013|腐食による断線をジャンパ修理(この事例の記事)
- iPad 第7世代 エラー4013・リンゴループの原因と修理|CPU再実装で起動した事例
- iPad 第5世代 リンゴループ・エラー4013|CPU再実装で起動
- エラー4013で復元・アップデートできないiPhone・iPad|原因と修理
- iPhone 13 Pro ホワイトスクリーンをジャンパーで直す方法【修理店向け】
English summary
An iPad Air 5 suddenly stopped booting and showed the recovery screen; restore and update failed with error 4013. Under the microscope we found corrosion around the connector of the power button (Touch ID) flex, and the traces from the connector had broken. We cleaned the corrosion and soldered three thin enamel wires from the connector pins to the pads beyond the break. After that the update completed without error and the iPad booted with all data intact and Touch ID working. On iPad 5th and 7th generation units, the same error was caused by the CPU solder joints instead, so rule out cables, parts and corrosion before reballing the CPU.
修理のご相談は、LINEからお気軽にお問い合わせください。
全国から郵送OK・ご来店(埼玉県熊谷市)も可
iPadの基板修理・データ復旧のご依頼
料金は iPad基板修理の料金ページ をご覧ください。
- LINEで機種と症状をお送りください(ご相談・お見積りは無料)
- 修理依頼書を印刷・記入し、端末と一緒に元払いでお送りください
- 到着後に診断し、お見積りをご連絡します。ご了承後に修理し、原則3〜7日でご返却します(送料は往復ともお客様負担)
送り先:〒360-0813 埼玉県熊谷市円光1-3-4 Stock Repair 修理受付 宛(TEL 048-580-5039)



