こんにちは、埼玉県熊谷市のストックリペアです。今回は東京都台東区のお客様からご依頼いただいた、Zenfone 8 Flipの突発的な起動不良の修理事例をご紹介します。スマホが急に起動しなくなってお困りの方、大切なデータを取り出したい方の参考になれば幸いです。
ご依頼内容と初期診断
お客様からは「Zenfone 8 Flipが急に起動しなくなってしまった」とご相談いただきました。端末内部には大切なデータが保存されているとのことで、データ復旧を最優先に修理を進めることになりました。
まず初期診断として、充電器を接続して電流の流れを確認します。正常な状態であれば起動時には500mA以上の電流が流れるはずですが、今回の端末では150mA〜200mA程度しか電流が流れていませんでした。この数値から、起動プロセスの初期段階で何らかの問題が発生し、システムが立ち上がる前に停止していることが推測できます。
奇妙なことに1%と画面に表示されて再起動を起こしていました。

分解と詳細調査
症状から基板レベルの不具合が疑われたため、端末を慎重に分解してメイン基板を取り出しました。当店では顕微鏡を使用して基板の状態を細かく確認しています。外観上の損傷やコンデンサの破損、腐食などがないかをチェックしましたが、目視では明らかな異常は見つかりませんでした。
次に、メイン基板に直接電源を供給して起動を試みます。この方法により、バッテリーコネクタや電源ボタンなどの周辺部品の影響を排除し、基板そのものの状態を正確に診断できます。しかし結果は同じで、電流計の針は0.15アンペアで止まったまま、起動には至りませんでした。

サーモグラフィーによる熱源調査
基板修理において非常に有効なのがサーモグラフィーカメラです。通常、ショートしている箇所や異常な電流が流れている部品は発熱するため、サーモグラフィーで容易に特定できます。しかし今回の場合、基板全体を確認しても熱を発している箇所は全くありませんでした。
この結果から、ショートや過電流ではなく、特定のチップの接続不良が原因である可能性が高いと判断しました。特にZenfone 8 Flipに搭載されている「Snapdragon 888」は、構造上の問題から起動不良を起こしやすいことが知られています。
Snapdragon 888とはんだクラックの関係
Snapdragon 888は、Qualcommが開発した高性能なモバイル向けチップセットで、2021年のフラグシップスマートフォンに広く採用されました。高い処理能力を持つ一方で、発熱量が大きいという特性があります。
この発熱と冷却の繰り返しにより、CPUと基板を接続しているはんだボール(BGA: Ball Grid Array)に「はんだクラック」が発生することがあります。はんだクラックとは、はんだ接合部に微細な亀裂が入り、電気的接続が不安定になったり完全に切れてしまう現象です。
今回の症状—起動途中で停止、低電流、発熱なし—はまさにCPUのはんだクラックの典型的な兆候でした。
CPU再実装による修理
診断結果に基づき、CPUの再実装(リボール作業)を実施することにしました。この作業は高度な技術と専用の設備が必要で、以下のような工程で進めます。
- CPUの取り外し: 専用のヒートガンと温度管理システムを使用し、基板にダメージを与えないよう慎重にCPUを取り外します
- はんだボールの除去と再形成: 古いはんだを完全に除去し、新しいはんだボールを均一に配置します
- 基板側のパッド清掃: 基板側の接続パッドもクリーニングし、酸化膜を除去します
- 再実装: 位置合わせを正確に行い、適切な温度プロファイルでCPUを再実装します
- 冷却と検査: ゆっくりと冷却し、顕微鏡で接合状態を確認します




修理結果とデータ復旧
CPU再実装後、再度基板に電源を供給したところ、今度は正常に電流が流れ、問題なく端末が起動するようになりました。電流値も正常範囲まで上昇し、ディスプレイにも映像が表示されました。

お客様が最も心配されていた端末内部のデータも、すべて無事に残っており、完全なデータ復旧に成功しました。写真、連絡先、アプリのデータなど、大切な思い出や情報を失わずに済んだことを、お客様にも大変喜んでいただけました。

郵送修理にも対応しています
今回のお客様は東京都台東区からのご依頼で、郵送でのやり取りで修理を完了しました。当店では全国どこからでも郵送修理を承っております。「近くに基板修理ができる店がない」「仕事で店舗に行く時間がない」という方も、安心してご依頼ください。
修理の流れは以下の通りです:
- お問い合わせ・症状のヒアリング
- 郵送方法のご案内
- 端末到着後の詳細診断
- お見積りと修理内容のご説明
- 修理実施
- 動作確認後、ご返送
まとめ
スマホの突発的な起動不良は、ユーザー側では対処が難しい基板レベルの問題であることが多くあります。特にSnapdragon 888搭載機種は、はんだクラックによる起動不良が発生しやすい傾向にあります。
「電源が入らない」「起動途中で止まる」「充電はできるが起動しない」といった症状でお困りの方は、データを諦める前にぜひ当店にご相談ください。スマホデータ復旧、スマホ基板修理の専門技術で、大切なデータを救い出せる可能性があります。
埼玉県熊谷市のストックリペアでは、iPhone、Android問わず、様々な機種の基板修理とデータ復旧に対応しています。郵送修理も全国対応可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
今回修理を行った端末は「Snapdragon 888」というプロセッサーを利用しています。「Snapdragon 888」は、Qualcommが開発した高性能なモバイル向けチップ
Snapdragon 888 は起動不良を起こしやすい。日本で販売された代表的な機種を下記に記しました。
Sony(ソニー)
- Xperia 1 III(ドコモ、au、ソフトバンク)
- Xperia 5 III(ドコモ SO-53B、au、ソフトバンク)
- Xperia Pro-I(SIMフリー)
SHARP(シャープ)
- AQUOS R6(ドコモ SH-51B、ソフトバンク)
- Leitz Phone 1(ソフトバンク)※AQUOS R6のライカブランド版
Samsung(サムスン)
- Galaxy S21(ドコモ、au)
- Galaxy S21+(ドコモ、au)
- Galaxy S21 Ultra(ドコモ)
- Galaxy Z Flip3 5G(折りたたみ型)
- Galaxy Z Fold3 5G(折りたたみ型)
ASUS(エイスース)
- Zenfone 8(SIMフリー)※今回修理された機種
- Zenfone 8 Flip(SIMフリー)※今回修理された機種
- ROG Phone 5(ゲーミングスマホ・SIMフリー)
- ROG Phone 5 Ultimate(ゲーミングスマホ・SIMフリー)
Xiaomi(シャオミ)
- Xiaomi 11T Pro(SIMフリー)※FeliCa対応で69,800円から
- Xiaomi 11T(SIMフリー)
OPPO(オッポ)
OPPO Find X3 Pro(au)
同じような症状の場合は当店にご相談ください。
ラインで簡単問い合わせ!
最後に
iPhoneの起動不良や充電が出来ない、リンゴループになってしまった、
端末を水没してしまって電源が入らなくなってしまったなどお困りの場合は
当店にご相談下さい。
iPhone・iPadは急に電源がつかなくなってしまう場合が時としてあります
その場合でも端末内部の基板にはデータが残っていますのでデータはあきらめないでください。
当店にご相談頂ければデータ復旧可能です。
端末内部には大切な写真データやお仕事で利用しているものなどもあると思います、
直ぐに対応してもらいたい場合も柔軟に対応可能です。
全国のiPhone修理店でiPhoneの基板修理が対応可能なわけではありません、
ほとんどは基板修理を受け付けを行ってから修理のできる会社や店舗に依頼しています。
当店ではそのような依頼も受けています。数少ない基板修理対応の店舗です。
直接ご依頼いただける場合は優先的に対応しております。お急ぎの場合はまずご相談ください。
修理店様からの代行修理依頼可能です。
基板修理以外のiPad代行修理や任天堂switch修理、androidスマホ修理も対応可能です。
[対応機種]
iPhone・iPad・androidスマホ・任天堂Switch
[StockRepair熊谷] ⇨ HP
〒360-0813 埼玉県熊谷市円光1丁目3-4
営業時間 : 10時〜19時
定休日:日曜・祝日
℡048-580-5039





